鼓膜切開、鼓膜チューブ挿入術について

 鼓膜切開は,鼓膜の奥の中耳の排膿、排液、観察、薬液注入などを目的として行います。

どのような時に行うか
 ①急性中耳炎の際に中耳内に膿がたまって痛みが強い時、解熱しないときなどに排膿を目的として行います。②滲出性中耳炎で、中耳内の液体貯留が何週間も無くならない時、または急性中耳炎を何度も繰り返すときにも行います。③その他中耳内を観察するために行います。

方法

  • 鼓膜麻酔

    鼓膜は痛みを感じやすい部位ですので、鼓膜麻酔を行います。イオン麻酔器や鼓膜麻酔液を用います。約10~15分かかります。この際軽いめまいを感じることもあります。
  • 切開

    切開は鼓膜切開刀を用い、鼓膜の下方に行います。上方には音を伝える耳小骨があり損傷をしないようにします。手術顕微鏡下に行います。幼いお子さんの場合は、危なくないように頭や体を固定して行います。その後中耳内にたまった液体を吸引、除去します。

    方針イメージ
  • 注意点

    切開時は動かないようにお願いします。切開後は中に溜まっていた膿や、少量の血液が出てくることがありますが、耳の中はいじらないようにして下さい。ほとんどの場合1~2週間で穴は閉鎖しますが、場合によっては閉鎖に時間がかかる場合があります。入浴は構いませんが、水泳や水に潜ることは避けてください。

鼓膜チューブについて

膜チューブとは何ですか?

 鼓膜切開をしてもその傷が塞がるとまた滲出性中耳炎や反復性中耳炎を繰り返すことがあります。その場合鼓膜切開後にその傷にシリコン製のチューブを挿入します。これを鼓膜チューブといいます。

方法

  • 鼓膜切開と同様にイオン麻酔をします。
  • 鼓膜切開をします。
  • 鼓膜チューブを挿入します。多くの場合数分で終了します。
  • 注意点
     チューブは1年以上はそのままとなります。水泳する場合などは耳栓を勧めています。自然に抜去することもありますが、1年以上経過を見て外来で抜去することもあります。鼓膜切開の場合よりは穿孔の残る可能性があります。穿孔を閉鎖するかは中耳炎の様子を見て決めていきます。