秋のアレルギーについて
秋になると、涼しく過ごしやすい季節になる一方で、アレルギー症状に悩まされる方が増えてきます。特にこの時期は、以下のような原因によるアレルギーが多く見られます。
ブタクサやヨモギなどの秋の花粉
春のスギ・ヒノキ花粉とは異なり、秋は草本植物の花粉が飛散します。これらは背が低く、近くに生えていると影響を受けやすいのが特徴です。秋の花粉症の特徴は花粉粒子が小さく気管支の奥まで届くため、咳が出やすいことです。
| 春(スギ・ヒノキ) | 夏(イネ科) | 秋(ブタクサ・ヨモギなど) | |
|---|---|---|---|
| 主な原因植物 | スギ、ヒノキ | カモガヤ、オオアワガエリなど | ブタクサ、ヨモギ、セイタカアワダチソウなど |
| 花粉の粒子 | やや大きめで粘膜に付着しやすい | 小さめで広範囲に飛散 | 非常に小さく、気管支まで入りやすい |
| 飛散時期 | 2月〜4月 | 5月〜6月(地域により秋も) | 8月〜10月(地域により11月まで) |
| 主な症状 | 鼻水、くしゃみ、目のかゆみ | 鼻炎、目の症状 | 鼻水、目のかゆみに加え喉の違和感・咳が目立つ |
| 間違えやすい疾患 | 風邪、インフルエンザ | 夏風邪、熱中症 | 風邪、咳喘息、寒暖差アレルギー |
ダニやカビ
夏に増えたダニの死骸や、秋の湿度によって繁殖するカビもアレルギーの原因となります。
🐛 秋にダニアレルギーが増える理由
夏の間、ダニは高温多湿な環境で爆発的に繁殖します。秋になると気温と湿度が下がり、ダニは死滅していきますが、その死骸やフンが室内に残り、空気中に舞い上がることでアレルゲンとなるのです。
特に9月〜10月は、空気が乾燥し始めるため、ダニの微細な粒子が浮遊しやすくなり、鼻や喉、皮膚に影響を与えます。
気温差による体調の変化
朝晩の冷え込みが強くなることで、鼻や喉の粘膜が敏感になり、アレルギー症状が悪化することがあります。
よくある症状
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くしゃみ・鼻水・鼻づまり
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目のかゆみ・充血
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咳・喉の違和感
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皮膚のかゆみ・湿疹
- 秋田県由利本荘市のような自然豊かな地域では、ブタクサやヨモギが身近に生えていることも多く、地域の植生や気候に合わせた対策が重要になります。
🗣 秋特有の症状:喉と咳に注意!
秋の花粉は粒子が小さいため、鼻や目だけでなく喉や気管支に影響しやすいのが特徴です。 そのため、以下のような症状が出ることがあります:
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喉のイガイガ
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乾いた咳が長引く
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声がかすれる
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咳喘息のような呼吸器症状
これらは春の花粉症ではあまり見られないため、「風邪かな?」と誤解されやすいんです。
対策と治療
🌿 花粉対策
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マスク・メガネ・帽子の着用 花粉の侵入を防ぎ、目や鼻の粘膜を守ります。
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帰宅後のケア 衣類の花粉を払い、洗顔・うがい・着替えを徹底。可能なら入浴も効果的。
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室内環境の工夫 窓の開閉は短時間にし、空気清浄機や加湿器を活用。洗濯物は室内干しが理想。
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雑草の除去 自宅周辺にブタクサやヨモギなどが生えている場合は、早めに除草することで飛散量を減らせます。
🐛 ダニ対策
- 寝具の掃除・洗濯。ダニが最も多いのは寝室です。 布団や枕は専用クリーナーで週一度は吸引。天日干しだけではダニの死骸が残ります。カバー類はこまめに洗濯。
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室内の清掃 カーペットやソファ、ぬいぐるみなどは掃除機や拭き掃除で清潔に保ちましょう。
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換気と湿度管理 ダニの死骸が舞い上がらないよう、適度な換気と湿度調整が効果的。
🧪 検査方法
秋のアレルギーは風邪や喘息と症状が似ているため、原因の特定が重要です。
主な検査
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血液検査(RAST法など) 花粉やダニなど、特定のアレルゲンに対する抗体の有無を調べます。当院では採血が苦手な方にドロップスクリーンも準備しています(通常の採血の方が精度が高く、好酸球数なども調べることが出来ます)。
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呼吸機能検査 咳や息苦しさがある場合、喘息や咳喘息の可能性を調べるために呼気一酸化窒素を調べます。
💊 治療方法
症状の程度や体質に応じて、以下のような治療が行われます。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみの場合
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抗ヒスタミン薬(内服) くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどを抑える基本薬。
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点鼻薬・点眼薬 局所の炎症を抑える。ステロイド系や抗アレルギー薬が使われることも。
鼻づまり、咳も伴う場合
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抗ロイコトリエン薬 気道の炎症を抑える薬。咳や喘息症状に有効。
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吸入ステロイド薬 喘息や咳喘息に対して使用。気管支の炎症を抑える。
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漢方薬 眠気が出にくいなどのメリットがあり、体質改善を目的に処方されることも。
根本治療
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舌下免疫療法(スギ・ダニ) アレルゲンを少量ずつ体に慣らしていく治療法。長期的に症状の改善が期待できます。
当院では、秋のアレルギーに対する診断・治療を行っております。症状に合わせた内服薬や点鼻薬、生活環境の改善アドバイスなど、患者様一人ひとりに合ったケアをご提案いたします。
「風邪かな?」と思っていたら、実はアレルギーだったというケースも少なくありません。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
